連載「デュアルライフ」

SECOND BASE

断熱性能 その3

 読者の皆様は、家そのものの断熱性能について考えたことがあるだろうか。本来であれば、冷暖房器具を考える前に、建築的に住宅の温熱環境をどのように整えていくかということから始めるのが大切なのだ。どんなに高価な器具や設備を投入しても、断熱性能が基準以上のレベルを満たしていなければザルで水をすくうのと同様で、折角暖めたり冷やしたりした空気が外へ逃げてしまい、エネルギーの垂れ流しとなる。検討した末に投入した高価な器具には無駄金を叩いたことになってしまう。
 では、建築的に温熱環境を整えるということはどのようなことなのか。
 話が難しくなる前に「断熱」という言葉を聞き慣れた「保温」という言葉に置き換えると身近に感じることができるかもしれない。「保温」を説明するには、日頃から利用する魔法瓶に喩えるのがよいだろう。出かける時に温めたコーヒーや日本茶、或いは味噌汁、スープなどを持参する時には、冷めにくい魔法瓶を選ぶのが一般的だ。魔法瓶に入れておけば、数時間経過しても冷めずに美味しくいただくことができる。
 この仕組みは次の通り。ひとつは容器の中に入れたものの温度が変化するのは熱伝導によって内容物の熱が触れている内壁へ移動して、それから外壁を通して容器の外へ逃げるからだ。もうひとつは熱放射といって熱が電磁波として容器に吸収され、外へ逃げてしまうのである。
 実は住宅の保温性能も方法は多少違っても考え方は全く同じで、冷めにくい住宅、熱が逃げ難い住宅をつくった方が良いに決まっている。このように住宅の断熱も魔法瓶の保温も用途や目的が異なるだけで、溜めた熱を逃げ難くする技術としてほとんど同じなのだと知っておくとよいだろう。
 さて、少しわかってきたところで家電量販店に行って、エアコンの購入を検討する時、製品説明のタグに「マンションなら暖房8畳、冷房10畳」、「木造住宅の場合は暖房6畳、冷房8畳」といった記載がされているのを思い出してほしい。どうして木造住宅よりコンクリートのマンションの性能の方が良いように表示されてしまっているのか、今時の家づくりを通じて考えると不思議でならない。

参創ハウテックの実験住宅

 これはもともと、エアコンの能力と言うより、建物そのものの性能を表現しているのだ。言い換えると、
「あなたはろくな木造住宅に住んでいないはずです。」と言っているのと同じことである。実に言いづらい事を畳数で比較して、ずばっと真実をついているわけだ。
 しかし、性能にもこだわったつくり手に出会って建てた木造住宅に住んでいることを知っていれば、家電量販店に行って購入する際、マンションに入れるものより、機器の能力は小さくて構わないのである。
 自動車でも車体(ボディ)があり、それを動かす駆動装置(エンジン)がある。その両方が相俟って車の燃費性能となるのと同じで、住宅も建築としての性能があり、その上で暖冷房のための装置を検討するのが正しい方法なのだ。
 一言で言ってしまえば、建物の保温性能を理科的数値で定量的に把握すること。「理科的」「定量的」と聞いてもピンとこないかもしれないが、これがQ値(熱損失係数)・UA値と言った長い間日の目を見なかった単位である。ここでは2001年に国が決めた次世代省エネルギー基準レベルの性能は最低でも必要だと考えてほしい。これらの係数については改めて詳しく説明することにして、まずは保温性能をしっかり確保した建築物をつくらないと、設備の効果も軽減してしまうと覚えておくとよいだろう。

・・・つづく

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