東京ゼロエミ住宅

東京ゼロエミ住宅導入促進事業 補助金総額1,530万円

 

〔1〕計画段階

 

「江戸川ダイクストラ」は、参創ハウテック一級建築士事務所が東京ゼロエミ住宅の認定と補助金申請をお手伝いした事例です。
 Y様よりお電話をいただき、現在設計中の投資型アパートで東京ゼロエミ住宅認証を取得したいというご相談でした。当時は工務店として設計施工を中心に業務をしておりましたので、東京ゼロエミ住宅認証のみの仕事は受けておりませんでしたが、何度かY様とお話ししているうちに、東京ゼロエミ住宅認証の取得に関する業務を弊社でお引受けすることとなりました。

 東京ゼロエミ住宅認証は、2023年の時点では水準1~3の段階に分かれていました。
 どうせ取得するなら、助成金が1戸あたり170万円となる水準3を目指しました。2023年の時は1戸でも水準3に満たないと全ての室が段階の低い水準となってしまいます。全戸が水準3となるように断熱性能計算と一次エネルギー消費量計算を検討していきました。

 

〔2〕検討ポイント

 

 木造アパート1K型の賃貸住宅で東京ゼロエミ住宅水準3を取得するために、まずアパートの断熱性能を上げていきます。断熱材は高性能なものを選択し、熱の逃げやすい窓はアルミ樹脂サッシのペアガラスタイプとしました。玄関ドアについても断熱性能の高い種類を選びます。
 ちなみに断熱材を高性能化すると部屋と外部の温度差が大きくなり、壁内結露が起こりやすくなります。壁内結露はカビが生える原因です。防湿施工がしっかりとできているか現場検査を行いました。

 二つ目に、エネルギー性能をあげるために省エネルギーな設備機器を選択していきます。この選択がとても難しく、水準3を目指すには知識と経験が必要です。省エネルギー性能が高い機器は、値段も高いのですが、それよりも場所を取ることが一番悩ましいところです。特にエアコンの室外機と給湯器の設置場所の確保が難しい。

左:断熱材設置後、防湿シートを施工  右:エアコンの室外機を壁掛けにした例

 

 エネルギー性能をあげるためには、給湯器を高効率型にするのが比較的簡単な方法です。江戸川ダイクストラは当初、高効率型のハイブリッド給湯器でリンナイ製のエコワンを検討していました。エコワンはガスとヒートポンプを使った省エネ性の高い機器です。ただし、1台当たりの大きさが一般的なガス給湯器よりも2.5倍程度の設置場所が必要です。
 江戸川ダイクストラではその場所が確保できませんでしたので、一般的なガス給湯器とサイズがほぼ同じエコジョーズの採用となりました。給湯機は約10年単位で故障すれば交換が必要となるので、小さくて交換が容易で安価なエコジョーズがお勧めです。

左:ハイブリッド給湯器(給湯器と貯湯タンク、室外機の3台が並ぶ)  右:エコジョーズ

 

 断熱性能と省エネルギー性能は、下表のようになりました。UA値は全て0.46W/㎡K以下で、BEI値は0.6以下となりました。これで全ての室で水準3となり、補助額は2023年時の基準で9戸×170万円=1,530万円です。アパート建設にはとても有効な補助となりました。
 また断熱性能は、断熱性能等級で表すと7段階のうち等級6以上となります。下表の中には等級7以上の室も混在しております。昔の木造住宅では冬は寒く、夏はとても暑い経験をされた方もいらっしゃるかと思いますが、このアパートでは冬でも暖かく、夏はエアコンが良く効く、快適なアパートとなりました。

 省エネ性能ラベルを発行しました。これは2024年4月より始まった制度です。アパート1室のエネルギー性能と断熱性能を表示することができます。
 借主は断熱性能が等級7の部屋を選ぶことができるようになりました。この制度が一般化すれば、部屋選びも変わってくるでしょう。

左:各室のUA値とBEI値  右:省エネ性能ラベル、202号室の例

〔3〕まとめ

2024年10月以降の東京ゼロエミ住宅補助については、水準がA~Cとなります。
水準Aは1戸当たり200万円と水準3の170万円から30万円UPです。
アパート建設を計画している方は、是非とも東京ゼロエミ住宅の採用をご検討ください。参創ハウテック一級建築士事務所では、設計・施工または東京ゼロエミ住宅申請のみでも受け付けております。

「江戸川ダイクストラ」無事に竣工しました。