社長の寄稿実績
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「志は価値貫徹企業を目指すこと」
わずか設立5年で約85パーセントの企業が廃業もしくは倒産し、10年存続できる企業は6.3パーセント、20年続く会社は0.3パーセントに満たないという驚くべき統計データがあります。起業の動機は金儲けのため、食べていくため、あるいは世のため人のためなど人それぞれですが、創業時は大きな夢や志を抱いていたにもかかわらず、比較的に短い期間で、志半ばにして挫折する経営者があとを絶たないのが実情のようです。
また、会社が表向きは存続したとしても、会社の目的は営利にあり、利益を稼ぎ出す会社がよい会社、儲からず赤字を出す会社は悪い会社というのが、世の中の風潮のようです。どのようなすばらしいサービスを提供してお客様から信頼されていても企業価値はその活動から生み出される利益にあるという考え方です。
私が注文住宅建設を生業とする現在の会社を創業して約16年が経過しましたが、利益を出すしくみをつくるのは、前述の会社の寿命の実態を知れば知るほど、利益を出すことが目的であろうが手段であろうが、そう生半可で簡単なことではないと実感しています。
では、会社が利益を生み出すしくみをつくるには、どのようにすればよいのかということになります。利益は効率化と付加価値創造の二つの原理原則からしか生まれることはありません。経営基盤が脆弱な中小零細企業には、有利な購買力や有能な人材力が備わっておらず、効率化だけに走ってしまえば、たちまち価格競争に巻き込まれてしまいます。
そこで私が決断したのは、付加価値を創造することでした。住宅業界は他業界とは異なり、大手数社による寡占市場ではなく玉石混淆の業界です。またITや自動車、家電などの産業と比べると、ローテク産業に近く参入障壁が低いのが特徴です。そのような業界にあって、他社が不得意とする住宅の温熱環境分野でトップランナーになること。家は建ててしまえば終わりではなく、お客様が居住後に快適性を実感できて初めて価値が生まれます。家を建てることはもちろんのこと、その先にあるお客様の暮らしに付加価値を追求したのです。
会社の経営理念にも、「社会から信頼必要とされる価値貫徹企業を目指す」と明文化し、社員と共有化に努めています。すべては、お客様の満足と笑顔のために、考え抜いて考えの総量を増やし、企業価値向上のために日々研鑽しています。
清水 康弘
トップが綴る仕事の原点・未来の夢「わが志を語る」 2014年10月24日発行 PHP研究所