施工事例「床下エアコンで快適!温熱改修工事で暖かい家」
REFORM
Prologue
築45年の木造2階建ての住宅のフルリノベーションです。
1階の間取りを大きく変えて、LDKを大きくするため、木構造を組み換えます。
構造は地震などの災害に強くするため耐震性能を向上させ、冬は暖かく夏は涼しくなるように断熱改修により温熱性能の改善を計画しました。
改修前の状態
S様
冬場がとても寒いので、断熱性能を良くして暖かく暮らしたいです。
また、昔の間取りなので1階を使い勝手の良い大きなLDKにしたいです。
家が古いので大きな地震も心配です。
設計者の考え
監修:尾崎
現地調査をしたところ、大きな劣化や雨漏れが見受けられました。耐震診断の結果は評点0.08と基準を大きく下回りますので、劣化を改善し、耐震強度を上げる計画をしました。
確認できる範囲で調査したところ、断熱材が薄く劣化もありました。温熱改修計画は、ダブル断熱と樹脂窓でUA値0.4W/㎡Kを目指して計画していきます。パッシブ冷暖システムを採用し、快適な暖冷房計画を立てました。
設計の考え方
Before → After
改修前
改修後
設計:石坂川
室内は必要最低限の間仕切りで、連続した空間は開放的で快適な動線計画となり、また面積の有効利用や省エネルギーにもつながります。
断熱性能を向上することで実現した計画です。
改修工事①
耐震改修
スケルトンの状態
現場監督
解体工事が終わり、基礎工事がスタートしました。一部基礎補強が必要なところがありました。鉄筋を組み、耐圧盤(スラブ)と基礎の立上りを作って、現況の基礎を補強していきます。
現場監督
写真上3枚:左半分は鉄筋で耐圧盤を組んで補強した部分、右半分は基礎自体がなかったので追加して補強した箇所です。
写真下2枚:耐圧盤を横からみたところ。正確にピッチを測りながら補強していきます。
現場監督
1階LDKは空間が広がるので現況の梁では耐えられないため、新しい梁を入れ、金物を使って補強していきます。シロアリの被害があった部分は柱を全て交換しました。
改修工事②
温熱改修
屋根断熱/充填断熱+付加断熱
現場監督
断熱工事に入りました。 屋根の押出法ポリスチレンフォーム3種を使用し、屋根の外側を断熱します。
外壁断熱/充填断熱+樹脂サッシ
現場監督
外壁は押出法ポリスチレンフォーム3種と高性能グラスウールのダブル断熱です。防湿層をしっかりと施工していきます。この防湿層と外断熱側の断熱材で、気密を高めます。現況の構造材が乾燥で痩せている部分があるので、施工に苦労しました。
窓は樹脂窓を採用しました。窓のガラスが2重になるととても重いので、搬入が大変です。
改修工事③
温熱バリアフリーのパッシブ冷暖システム
監修:尾崎
床下エアコンを採用しました。参創ハウテックで開発したパッシブ冷暖システムは、1台のエアコンで複数の部屋を暖めたり冷やしたりできる冷暖房システムです。エアコンの風を床下に吹き込むことでLDKだけでなく洗面脱衣室やトイレ・廊下・玄関もほぼ同じ室温にすることができます。
室温のバリアフリーをすることで冬場のヒートショックを防ぐことができ、健康にも省エネにも優れたシステムです。
パッシブ冷暖システムのダクト配管
写真左:テレビ台下の収納の右側にパッシブ冷暖システムのエアコンを格納。写真右:床のガラリ部分。
工事完了
竣工写真
こうして5ヶ月間にわたる改修工事が無事に完了しました。
明るく開放的で動線の良いリビング&ダイニングエリア。
機能的で使い勝手の良い水廻りエリア。
S様
床が全体的にほんわかと暖かく、エアコンの風を感じない快適な住まいになりました。キッチンからもダイニングからも中庭の景色を眺められ、室内に届く陽射しも心地よいです。
設計:石坂川
最優先課題の暑さ寒さが改善され、ストレスを感じることなくお過ごし頂いております。
また愛用されている家具や調度品と内装材との調和がとれ、住まい手のセンスが感じられるインテリアとなりました。
建物の基本的な性能を向上させることで安心や快適に結びつき、総合的に高品質な住まいに変わりました。
監修:尾崎
耐震と温熱の性能向上リノベーションが実現しました。インテリアもとてもよくデザインできております。
昭和期の木造改修では、解体工事をしてみるとシロアリ被害や耐震強度不足がよく見つかります。解体工事後に再計画をすることも多くあります。
現場監督
前面道路が細くて坂になっているため、工事や運搬の車両は大通りに駐車して、そこから手運びしたのが苦労した点です。水廻りの位置が変わりましたが、スケルトンリフォームで配管もすべてやり直したため、問題なく進められました。