施工事例「木造3階建て性能向上リノベ」
REFORM
Prologue
S邸は参創ハウテックが2002年に施工した木造3階建て住宅です。S様より改修工事のご相談を受け、木造3階建て性能向上リノベ(リフォーム)を行いました。
S様が性能向上リノベを選択した理由については「YKKap性能向上リノベの会」を通してYoutube【高断熱住宅専門誌「だん」公式チャンネル】にて紹介しております。この動画のROOM TOUR後にインタビューがございますので、是非ともご覧ください。
改修前の状況
温熱検討:尾崎
性能向上リノベの内容は、耐震改修と断熱改修です。
改修前は耐震等級1、断熱等級3(UA値0.88W/㎡K)の性能でした。
改修後は、耐震等級3、断熱等級6(UA値0.44W/㎡K)を目指します。断熱範囲は外壁と屋根、床となります。
基礎に関しては断熱補強は行っておりません。基礎を断熱補強するには1階床を撤去する必要があります。床材は接着剤を利用して敷いているため、床材を剥がしての再利用は難しいと判断しました。S様は床材について、年月が経ち風合いが増し、新築導入時の思入れがあるサワラ材のため、基礎の断熱補強はしない方針としました。
温熱検討:尾崎
耐震改修では、構造計算を行い耐震等級3を目指します。構造はSE構法でしたので、当時の構造計算に基づき、補強計画を進めます。
耐震改修は新築での耐震工事とは違い、しっかりと施工方法を検討する必要があります。補強を行う位置や方法を構造設計側と施工側で入念な打ち合わせを行い進めていきました。
設計段階
設計者の考え
設計:須藤
設計を進めていく中で、大枠となる間取りについてはお打ち合わせの中で様々な案が出たのですが、最終的には大きな変更はせず、ほぼ既存のままという形にまとまりました。
内装の仕上げなどは新築当時にS様がこだわって決められたものだったので、思い入れのある無垢のサワラのフローリングなども含め、既存の素材感や意匠を引き継ぐことが設計の大きなポイントでした。
造作の建具や家具などはデザインは大きく変えずに、使い勝手に合わせて仕様を多少変えつつ、既存の部材も再利用する形で詳細の設計を進めていきました。家具の扉の面材などは当時採用したものをS様が覚えていらっしゃるものもあったので、当時と同じものを使用することが出来ました。
改修工事①
強度測定~解体工事
温熱検討:尾崎
改修工事に入りました。解体工事前に建物の強さを測定します。今回は地盤微動探査試験を行いました。
この機械は日常に起こっている振動を測定し、建物の強さを測定することができます。日常に起こっている振動から建物の固有周期を計算します。建物の固有周期は大地震の周期と一致すると、建物に大きな損傷がでます。建物の固有周期は地震での損害の目安となります。
現場監督:栗田
工事を担当する栗田です。解体工事に入りました。外壁廻りの壁下地を撤去したので、新築当時に入れた断熱材(水色)が見えています。
この断熱材は「押出法発泡スチレンフォーム」という名称です。当時はこの断熱材を4cmの厚さで施工していました。
改修工事②
断熱工事
温熱検討:尾崎
現在の外壁の断熱材の厚みとしては、もう少し厚くしたいところです。目安とするのは、断熱材の熱抵抗値です。
壁内の寸法は12cmあるところに4cmの断熱材が入っています。断熱材の中でも高性能なフェノールフォーム断熱材を6cm追加することにしました。断熱材合計の熱抵抗値4.4㎡K/Wとなりますので、大きな断熱性能の向上となります。
ちなみに一般的な木造の外壁の熱抵抗値は、2.7㎡K/Wが主流となっています。
現場監督:栗田
断熱工事が完了しました。壁内に「フェノールフォーム断熱材」を隙間なく入れてあります。
改修工事③
耐震補強工事
現場監督:栗田
耐震補強も完了しました。壁に合板が貼られている場所が補強部分です。(写真左)
また天井にも補強しています。壁だけでなく水平部分(床や天井部分)にも補強が必要です。金属の火打梁も使い補強しています。(写真右)
改修工事④
内窓設置工事
温熱検討:尾崎
既存窓には内窓を取り付け、工事が完了しました。
総括
補助金の活用について
温熱検討:尾崎
補助金に関しては下記の補助金を利用しました。
・先進的窓リノベ事業2025
・子育てエコホーム支援
・既存住宅における省エネ改修促進事業(東京都)
・サスティナブル建築物等先導事業
補助金額の合計は、約470万円を見込んでいます。
特にサスティナブル建築物等先導事業は大きな補助事業です。2026年末までの申請となりますので、ご検討の方はお早目にご相談ください。
温熱検討:尾崎
サスティナブル建築物等先導事業で行う必要がある気密試験を行いました。
気密性能を表すC値は低いほどよく、新築では0.1~0.7㎠/㎡の結果が多いです。今回、1階の床と基礎は工事範囲外でしたので、気密はある程度取れれば良いと考えていました。
結果は2.2 ㎠/㎡となり、許容範囲となりました。
YKKAP「性能向上リノベ」の取材
温熱検討:尾崎
S様がお引越しされた後、YKKAP株式会社が運営する「性能向上リノベ」からS様へ取材依頼がありました。
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授の前真之先生がお越しになり、サーモカメラを使って室内温度分布を測定しています。
温熱検討:尾崎
左の写真がLDKを撮影したサーモカメラの写真です。22℃~24℃ぐらいの分布となっており、室内がとても暖かいことがわかります。(撮影日:2026年2月26日)
室内に設置した温度計からも暖かさがわかります。(写真右)
性能向上リノベを終えて
設計:須藤
全体としては解体前と竣工後の意匠的な見た目はほぼ変わらずS様とも「元に戻った感じですね」とお話したりもしたのですが、既存の意匠の意図をS様に伺いながら読み解き、可能な限り引き継ぐことが出来たかと思います。
S様ご夫妻
ひとことで言うと「あったかい」です。一緒に高齢の母も住んでいて、前は「寒い寒い」と言っていたのに、家の床暖房だけでエアコンをつけることもなくなりました。3階も時々エアコンをつけていたのですが、今はつけなくなりました。(ご主人様)
お家に入った時にものすごく頑丈になっているのをすごく感じて、でも見た目は変わらないんです。あとこの暖かさが本当に包まれている感じというか、すごく感動したのは確かです。基本性能が変わるって、こういうことなのかなって実感しました。(奥様)
※冒頭のYoutube【高断熱住宅専門誌「だん」公式チャンネルより抜粋】






















